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MLCC/高誘電系積層セラミックコンデンサ その2

MLCC/高誘電系積層セラミックコンデンサ その2

MLCC用ニッケル電極とバインダーの要求特性

MLCC/高誘電系積層セラミックコンデンサの製造プロセスで使用される材料は様々ありますが今回はニッケル電極やバインダーに要求される特性、またと歩留まり、品質改善の課題についてご説明させて頂きます。MLCC/高誘電系積層セラミックコンデンサ製造プロセスの概要についてはこちらから

ニッケル電極について

ニッケルは、比較的硬く、温度1,453℃で融解する灰白色の金属で、強磁性を有し、可鍛性及び延性があり、また、耐食性及び耐酸化性がある。また、Niは、窒素中で焼成する為、この様な問題が起こらない。また、Ni粉末より微粒子のセラミック粉末との分散がよい。
Ag/Pdペーストは、空気中の酸素と還元反応を起こし、膨張、収縮により構造欠陥による電気的信頼性が落ちてしまう。

ニッケル電極製造の課題

・MLCCの多層化(1,000層)により、Ni紛の径は、0.15μ以下。さらに、微粉末中に含まれる大きな粒子・凝集体の選定削除。
・Ni紛の凝集や大きさによるショートを無くすための分級精度。
・金属粉末(Ni)とセラミック粉末の均一分散、また、金属粉末とセラミック粉末を大きく変えて、焼成収縮カーブを合わせる。(Niペーストの収縮は、セラミックより400℃以上低温で始まる為、収縮挙動の差がクラック発生原因)

バインダーの要求特性

ニッケル粉末を含む内部電極ペーストとセラミックシートとを同時焼成した場合、セラミック層はニッケル膜と一緒に収縮しないことから、ニッケル膜が面方向に引っ張られる形になる。このため比較的低温での焼結によってニッケル膜中に生じた小さい空隙が、高温域での焼結の進行に伴って拡がって大きな穴になり易いと考えられる。このように内部電極に大きな空隙が発生すると、電極が不連続化して抵抗値の上昇や断線を引き起こし、コンデンサの静電容量が低下する。 さらに、焼成中のニッケルの酸化還元反応に起因して体積の膨張収縮を生じることにより、ニッケル膜とセラミック層との焼結収縮挙動が一致せず、これがデラミネーションやクラック等の構造欠陥を生じる原因ともなり、歩留り、信頼性が低下してしまいます。

歩留まり、信頼性向上の課題

 このような問題を解決するため、ニッケル粉末の表面にある程度の厚さを有する緻密な酸化膜を形成することによって、焼成時、ニッケルの酸化還元による体積および重量の変化を少なく抑え、かつ焼結開始温度を高くすることにより、デラミネーションを有効に防止します。
表面にNi-PやNi-S-Oのようなニッケルと硫黄を含む化合物層を設けることで、焼成中、特に脱バインダ工程におけるニッケル粉末の酸化や還元を抑制し、また焼結開始温度を高温化させるので、ニッケル粉末の酸化挙動、還元挙動および焼結挙動が改善される結果、積層セラミックコンデンサの製造工程においてデラミネーションの発生を抑制させます。
ニッケル粉末表面に形成した酸化層は、ニッケル表面の活性を低下させるので、積層電子部品の構造欠陥を抑制し、また内部電極の抵抗値の上昇を防止するのに有効ではあるが、効果が充分でない。特に、Niの粒径がサブミクロンオーダー、特に0.5μm以下になってくると、電極の不連続化を抑制することができなくなってくるほか、脱バインダー工程でのビヒクル成分の分解が不完全になることに起因すると思われるコンデンサ特性の低下、構造欠陥の発生、信頼性の低下が問題となることがある。即ちこのように極めて微細なニッケル粉末は、酸化層を有するものであっても活性が高いため 、ビヒクルに対して分解触媒として作用し、樹脂が通常の分解温度より低い温度で爆発的に分解することがある。この場合、急激なガス発生によりクラックやデラミネーションを引き起こす。また急激な反応のため脱バインダ工程において樹脂が完全に揮散せずにカーボンや炭素化合物等の炭素質残渣が発生し、これが引き続く高温でのセラミックの焼結工程において酸化、ガス化して揮散する際、セラミック層から酸素を引き抜いてセラミック素体の強度を低下させたり、静電容量、絶縁抵抗等の電気特性を悪化させたりする。また 残留カーボンがニッケル粉末を低融化させることにより、過焼結を起こすこともあります。

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